全国の市役所や町村役場で、窓口の受付時間を短縮する動きが広がっている。宮城県内では名取市が先頭を切り、午前8時半から午後5時15分までだった開庁時間を、10月1日からは午前9時から午後4時半までと、朝夕合わせて75分短縮する。職員の働き方改革が「時短」の理由だ。
同市職員の執務時間は8時半から5時15分。それに合わせて窓口を開けていたが、窓口のパソコンを起動させたり、その日納入された手数料を集計したりするため、職員が交代で早めの出勤や残業をしていた。職員から「時間外勤務が前提となっているのを、改善すべきだ」と声が上がり、執務時間は変えずに窓口の時間を短縮することになった。
本庁舎で転出入届を受け付ける市民課や、税金を収納する税務課などのほか、公民館や保健センターでも同様だ。時間外勤務を減らすだけでなく、空いた時間を課員のミーティングなどに充てるという。
■終わらなければ…「時間超えても対応します」
同市の市民課窓口は1日平均約220人が訪れるが、90%以上が9時から4時半の間に来ていた。市役所に行かなくても24時間可能な手続きが増えており、最近は4割以上の人が住民票や印鑑証明などをコンビニで受け取っている。こうしたことも判断理由になった。
市は「時間内に受け付けた手続きや相談が終わらないときは、時間が過ぎても対応します」としている。
全国では、大津市が2020年4月から開庁時間を45分短くした例などが、先行例とされる。昨年ごろから取り入れる自治体が増え、福島県いわき市は昨年1月から90分、山形県上山市は今年5月から60分短縮した。県内では大崎市が今年12月から、8時半―5時15分だったのを8時45分―4時にして90分の時短を、多賀城市が来年1月から、9時―4時半に見直して75分の時短を、それぞれ予定している。(石橋英昭)